油圧式リフトテーブルの構造と特徴

油圧式リフトテーブルの構造

リフトテーブルとは、テーブル/パンタアーム/アクチュエーター/ベース/油圧ユニット/操作制御盤などから構成された昇降装置の名称になります。一般的に、パンタアーム部分をアクチュエータで開閉させることにより、パンタアームに連結されたテーブルが昇降するしくみになっています。
アクチュエーターには油圧シリンダーを使用し、油圧シリンダーを駆動させる油圧ユニットを備えたものが、「油圧式リフトテーブル」と称されます。
それでは、油圧式リフトテーブルの構造について、構成部材別にご説明いたします。

テーブル

テーブルとは、リフト最上部の荷物を載せたり、作業者が乗るための平らなフレーム部分のことを言います。
上板(床板)には、平鋼板や縞鋼板などがあります。人が乗るための作業用や、手押し台車などを載せる場合は、足元が滑りにくい縞鋼板を使用されますことを、推奨いたします。
テーブルフレームは、溝形鋼や山形鋼を使用し製缶組立されており、テーブルの設計基準は、テーブル面積の約80%に等分に荷重がかかるものとして、設計しています。
極端な偏荷重や集中荷重などをテーブルに載せる場合は、ご相談ください。テーブルには転落防止用の安全柵を設けたり、機械装置などを取付けるための穴あけ加工や内部の点検のための点検口などを設けることもあります。
テーブルは、パンタアームとテーブル固定ピンで連結されています。パンタアームが開閉することで、テーブルが昇降する構造になっています。

パンタアーム

パンタアームとは、ハサミ状のXになった伸縮部分のことを言います。
パンタアームは、左右二枚づつのアームフレームと3つの支点ピンで構成されます。中央のピンを支点にして、アームフレームが開閉することで、おもちゃのマジックハンドのようにパンタアームが開閉します。
リフトテーブルは両端の支点ピンの片方が固定ピン、もう一方はローラーになっています。固定ピンは、1台のリフトテーブルに上下2本づつ、合計4本あります。
パンタアームは、固定ピンによりテーブルフレームとベースフレームに連結されており、パンタアームが開閉することで一方のローラーは水平に移動します。
ローラーも1台のリフトテーブルに上下2個づつ、合計4個あります。この横移動するローラーの名称をフロアーローラーと言います。
フロアーローラーが付いているピンのことを、フロアーローラーピンと言います。フロアーローラーピンも1台あたり4本あります。
アームフレームの構造は、板アームとボックスアームの2種類があり、用途により使い分けしています。
板アームは、厚板の鉄板を溶断加工したものでリフトテーブルのサイズが小さく、積載荷重も比較的に軽量のものに適しています。ボックスアームは、溝形鋼に鉄板を溶接し剛性を増した構造で、断面形状がコラム状になっています。
テーブルのサイズが大きく、積載荷重も重量級のものに適しており、また、アーム幅もあるためリフトテーブルの横揺れ防止効果もあります。
パンタアームを油圧シリンダーで開閉させるために、パンタアーム内にはシリンダー受けと言う油圧シリンダーを固定するためのフレームが、上下2ヶ所あります。

アクチュエーター(油圧シリンダー)

パンタアームを開閉させるための駆動機のことを、アクチュエーターと言います。油圧式リフトテーブルの場合、アクチュエーターには油圧シリンダーを使用します。
パンタアームに取付けられた油圧シリンダーに、油圧ユニットから圧油を入れたり抜いたりすることで、油圧シリンダーを伸縮させ、一体型になったパンタアームを開閉させることで、リフトテ―ブルを昇降させます。
油圧シリンダーには、単動型と複動型がありますが、リフトテーブルに使用する油圧シリンダーは一般的に、単動型シリンダーが使用されます。
単動型シリンダーとは、圧油を入れる配管口が一ヶ所だけで、その配管口から圧油を入れたり抜いたりするシンプルな構造のシリンダーです。
リフトテーブルを上昇させる場合は、シリンダーに圧油を送りシリンダーを伸ばします。リフトテーブルを下降させる場合は、シリンダー内の圧油を抜きシリンダーを縮めます。

ベース

ベースとは、リフトテーブルの最下部にある台盤フレーム部分のことを言います。
テーブルフレームと同様に、溝形鋼や山形鋼を使用し製缶組立しています。一般的に、ベースフレームについては、基礎上に直接設置するものと考えているため、曲げに対する強度についてはほとんど考慮していません。
そのため、設置基礎の状態が悪い場合などは、ベース下部と基礎面の隙間にライナーを敷き詰めるなどの対策が必要になります。
ベースフレームには、設置後の横ずれ防止用として、アンカーボルトで固定できるアンカー座を取付けることがあります。

ベース

油圧ユニット

油圧ユニットとは、油圧発生装置の名称です。油圧シリンダーに圧油を送り込んだり、抜いたりすることで、リフトテーブルは昇降します。油圧式リフトテーブルには、必要な駆動源になります。油圧ユニットには、リフトテーブルの本体内部に組込む内装式と、本体外部に設置する外装式(別置式)の2種類があります。
油圧ユニットは、基本的に以下の機器類で構成されます。

・オイルタンク 作動油を溜める容器
・油圧作動油 一般鉱物油 VG32#
・ストレーナ タンク内作動油の異物を除去するろ過器
・電動機 油圧ポンプを駆動させる回転機(同一方向の回転のみ)
・カップリング 電動機と油圧ポンプを結合するための機器
・油圧ポンプ 圧油を発生させ、吐出させる機器(同一方向の回転のみ)
・リフトバルブ 圧力/流量/方向を制御する複合電磁弁

操作制御盤

操作制御盤とは、油圧式リフトテーブルを運転するための電気制御機器の名称です。操作盤とは、リフトテーブルの昇降や停止を指令するスイッチになり、手押し釦式のものと、足踏み式(フットスイッチ)の2種類があります。
制御盤とは、操作盤から発信された電気信号を受け、リフトテーブルの昇降をコントロールする電装機器の集合体で、一般的には金属製の箱に入れリフトテーブルの付近に設置されます。

油圧式リフトテーブルの特徴

油圧式リフトテーブルの特徴についてご説明いたします。
油圧式の最大の特徴は、コンパクトながら高出力を生み出すことが可能なことです。つまり、小さな機械でも重いものの昇降ができると言うことです。

1.他の昇降機と比べリフター本体の寸法を小さくすることができます。
2.リフターの最低高さを低くすることができます、より低い位置から重量物なども
楽々昇降させることが可能です。
3.油圧式は空圧式や電気式に比べ速度制御がやりやすく滑らかな動作をさせること
が可能です。
4.上昇時のみ電動機を使用します、下降時は電動機を使用しないため電気代も安く
経済的です。
5.構造がシンプルなため他の昇降機と比べ廉価でコストメリットがあります。

 

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