大型リフトテーブル、何トンから?導入前に知っておくべきこと

工場、倉庫、物流センターなどにおける重量物の昇降や、組み立て、加工といった多様な作業の効率化に、リフトテーブルは活用されています。その中でも、特に大きな積載重量を誇る「大型リフトテーブル」は、作業効率化や安全性向上に大きく貢献します。では、一体何トンからが「大型」と呼ばれるのでしょうか?

明確な基準はないが、ニーズによって大きく異なる

実は、「大型リフトテーブル」に明確な定義や基準はありません。しかし、一般的には積載重量が1トンを超えるものを指すことが多く、現場のニーズによって「大型」の定義は大きく異なります。10トン、20トン、あるいは100トンを超える重量物を持ち上げることが可能な製品も存在し、それぞれの現場特有の課題を解決するために導入されています。

 

導入前に確認すべきこと

大型リフトテーブルの導入は、効率化と安全性を両立させる重要な決断です。以下の点を踏まえていただき、将来的な事業成長を支えるために最適な選定をお願いいたします。

1.性能要件の明確化

お客様の作業効率向上と、最適なリフトテーブル選定のために、以下の項目についてご確認をしてください。

積載重量

持ち上げる積載物の最大重量を正確に測定することは、安全な作業環境を確保する上で最も重要です。積載重量ぎりぎりではなく、余裕を持った積載能力を持つ製品を選定することが推奨されます。過積載は製品の寿命を縮めるだけでなく、重大な事故を引き起こす可能性があります。重量測定には、様々な荷物の重量とともに、偏荷重も考慮することが重要になります。

テーブルサイズ

積載物の最大寸法と形状を正確に把握することは、作業効率を最大化するために不可欠です。作業員の動線を考慮し、周囲の作業スペースも十分に確保できるテーブルサイズを選定する必要があります。大型の積載物を扱う場合は、テーブルの強度と耐久性も重要な選定基準になります。テーブルの材質や構造、補強の有無などを確認して、長期的な運用に耐えうる製品を選びましょう。

昇降ストローク

必要な最大昇降高さを測定する際は、荷物の積み下ろしや作業の高さを詳細に検討する必要があります。昇降ストロークが不足すると、作業効率が低下するだけでなく、作業員の負担も増加します。また、昇降ストロークが過剰に大きい場合も、昇降に無駄な時間を要する可能性があるため、最適な昇降ストロークを選定することが重要です。

昇降速度

作業効率と安全性を両立できる最適な昇降速度を選定するには、実際の作業フローを詳細に分析する必要があります。昇降速度が速すぎると、積載物の落下や作業員の安全を脅かす可能性があります。一方、遅すぎると作業効率が低下します。速度調整機能があれば、様々な作業に対応できるため、導入後の柔軟性が高まります。

作業頻度

1日当たりの最大昇降回数を確認することは、製品の耐久性を評価する上で重要です。頻繁な昇降作業を行う場合は、高耐久性の製品を選定する必要があります。製品の耐用年数やメンテナンス頻度も考慮し、長期的なコストパフォーマンスを評価することが重要です。

2.安全性・設置環境の確認

お客様の安全とリフトテーブルの長期的な安定稼働のために、以下の項目についてご確認ください。

安全対策

転倒防止、過負荷防止、挟み込み防止、急降下防止、非常停止装置の有無と性能を必ず確認することは、作業員の安全確保に不可欠です。安全センサー、転落防止用手すり、侵入予防用ジャバラ、警告表示、非常警報装置などの付帯設備も、作業員の安全を考慮する上で重要です。最新の安全規格に適合しているか確認し、安全性を最優先に検討してください。

設置場所

床強度、電源容量、設置スペース、搬入経路、設置用クレーンの有無等の諸条件の確認は、スムーズな導入と安全な運用に不可欠です。屋外設置の場合は、排水桝の位置と排水経路、耐候性、防錆処理、油圧ユニットの設置場所の検討も必要です。さらに、設置場所の湿度、温度、粉塵、振動などの環境条件も考慮し、製品の耐久性を確保することが重要です。

作業環境

高温、低温、屋外、粉塵、腐食性ガスなど、特殊な使用環境下では、リフトテーブルの耐久性、耐食性、防爆性を十分に考慮することが極めて重要です。これらの特性は、製品の寿命を著しく左右するだけでなく、作業員の安全確保にも直結します。

3.維持管理・法令順守

リフトテーブルを長期にわたり安心してご使用いただくために、以下の項目についてご確認をお願いいたします。

メンテナンス体制

製品の長期的な運用を確保するためには、定期点検、部品供給、修理対応といったメンテナンス体制の確認が重要です。定期的なメンテナンスは製品の寿命を延ばし、故障による稼働停止時間を最小限に抑えます。

関連法規

労働安全衛生法、建築基準法などの関連法規を遵守した製品を選定し、設置・使用することは、法的責任を果たす上で重要です。設置に必要な許可・届出も確認し、法令遵守を徹底してください。法令違反は、罰則や事業停止のリスクを伴うため、慎重な対応が必要です。

導入後のメリット

大型リフトテーブルを導入することで、以下のメリットが得られます。

1.作業効率の飛躍的な向上

大型リフトテーブル導入により、重い荷物の上げ下げ作業が効率化され、作業時間を大幅に短縮、生産性を向上させます。人力で行っていた作業が不要になるため、作業者は他の作業に集中できます。リフトテーブルの高さ調整機能により、荷物の積み下ろしや組み立て作業を、腰をかがめたり背伸びしたりすることなく行え、作業効率が向上します。

2.作業者への負担軽減と労働環境の改善

大型リフトテーブル導入により、重い荷物を持ち上げる作業がなくなるため、腰痛や肩こりなどの身体的な負担を軽減し、安全な職場環境を実現します。荷物の落下や挟み込みなどの事故リスクを減らし、作業者が安心して作業できる環境を作ります。身体的な負担が減ることで、従業員のモチベーション向上につながります。

3.作業現場の安全性向上と事故リスクの低減

大型リフトテーブル導入により、重い荷物の運搬作業に伴う転倒や落下などの事故を防ぎ、作業現場の安全性を高めます。安全センサーや非常停止ボタンなどの機能が付いた製品を選ぶことで、さらに安全性を高めることができます。安全な作業環境は、作業者の集中力を高め、作業ミスを減らすことにもつながります。

4.省人化の推進とコスト削減

大型リフトテーブル導入により、重い荷物の上げ下げ作業に必要な人員を減らすことができ、人件費を削減できます。作業時間の短縮により、残業代などのコストも削減できます。減らした人員を他の作業に回すことで、全体の作業効率を上げることができます。

5.作業環境の最適化と製品品質の向上

大型リフトテーブル導入により、作業台の高さを調整できるため、作業者は常に適切な姿勢で作業を行うことができ、作業の正確性が向上します。作業の正確性が向上することで、不良品の発生を減らし、製品の品質を高めることができます。作業環境が改善されることで、従業員の満足度が高まり、より良い製品づくりにつながります

まとめ

大型リフトテーブルは、重量物を取り扱う現場の効率化、安全性向上、省人化に貢献する重要な設備です。導入にあたっては、性能要件、安全性、設置環境、維持管理、法令遵守など、多岐にわたる検討が必要です。本記事を参考に、最適な製品を選び、安全で効率的な作業環境を実現してください。

大型リフトテーブルの選定から導入、運用に至るまで、お客様の現場が抱える課題は多岐にわたります。弊社では、長年の経験と豊富な知識に基づき、お客様の個別のニーズに合わせた最適なソリューションをご提案いたします。

>>大型リフトテーブル 製作事例①をご紹介解説!

>>大型リフトテーブル 製作事例②をご紹介解説!

>>大型リフトテーブル 製作事例③をご紹介解説!

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